ShioriLearns

30代前半のOLが学び直しをきっかけに少しずつ人生を上向きにしていくブログ

「社会人のためのデータサイエンス演習」に申し込んでみました

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この度11月28日より、総務省統計局が提供する無料オンライン講座「社会人のためのデータサイエンス演習」が開講されるそうです。
ここ数年、データサイエンスや統計といった分野が多くの社会人の関心を集めています。
それだけ多くの社会人にとってデータを扱うということが身近な作業になってきているということかと思います。
私も普段の仕事などでデータを扱いますが、データを分析しようとする段階で、どの方法がベストか悩んだりすることがあります。
また過去に使用したデータ分析方法をそのまま適用できないケースも多く、どのように応用すればいいか悩んだりすることもあります
この「社会人のためのデータサイエンス演習」は、データサイエンス演習と銘打っているものの、データサイエンティストを目指すような意欲の高い社会人向けの講座ではありません。むしろ、私のように普段の仕事の中で簡単なデータ分析をしたい初級者や、そもそもデータ分析とは何ぞや、という入門レベルの社会人を対象としています。ということで早速受講申込をしてみました。
まだコースが始まっていないため、内容について詳しいことは書けませんが、インターネット上で過去の受講者の口コミを見ていると中々評判は良いようです。ビジネスに関わる多くの方に役立ちそうな講座なので、このブログでも簡単に紹介しておきたいと思います。

社会人のためのデータサイエンス演習とは?

「社会人のためのデータサイエンス演習」とは、総務省統計局の監修のもと、日本初のMOOCs※1プラットフォームであるgacco上で開講される社会人向けの初級データサイエンス講座です。総務省は、今回この講座を開講するに至った背景を以下のように説明しています。

“我が国の国際競争力を強化し、経済成長を加速化させるためには、ビジネスの現場においても、公的統計やビッグデータを活用した課題解決能力の高い人材、いわゆるデータサイエンスを身に付けた人材が不可欠となっています。”

こういった状況を踏まえ、データサイエンスの基礎知識を身に付けた人材の育成を図るべく、誰でも参加可能なMOOCsのプラットフォームに今回講座を開講するに至ったということだそうです。ちなみに、さらなる入門編として「社会人のためのデータサイエンス入門」という講座が同じくgacco上で昨年開講されており、そちらには延べ2万人を超える受講者が登録しています。

この講座のねらいについて、統計局統計情報システム課課長の阿向 泰二郎氏は以下のように語っています。

“この講座は、業務やビジネス上での分析事例を中心に、実践的なデータ分析の手法を学ぶことができ、皆様のビジネスの中ですぐに使える内容になっていると思います。この講座が、公的統計やビッグデータを使いこなし、課題解決に導ける人材の育成、能力開発の一助となれば幸いです。」”

ビッグデータを使いこなし…」というくだりはかなり意欲的に聞こえますが、実際の講座内容を見てみると、そこまで難しいことは扱っていません。そこまでのレベルは目指さないにしても、この講座をデータサイエンスについて学ぶ最初のとっかかりにして欲しいということではないかと思います。

講座の内容

では本講座ではどのような内容を扱っていくのでしょうか。
gaccoの公式ページによると、5週間にわたって以下のような内容について扱っていきます。

第一週:「データサイエンスとは」
データサイエンスが必要とされる背景やデータ分析に基づく問題解決プロセスを紹介

第二週:「分析の概念と事例」
記述統計によるデータの把握と比較の方法について学習

第三週:「分析の具体的手法」
相関関係等の2変数の関係や時系列データの解釈について学習

第四週:「ビジネスにおける予測と分析結果の報告」
回帰分析による予測や分析結果の報告と解釈について学習

第五週:「ビジネスでデータサイエンスを実現するために」
ビジネスでデータサイエンスを実現するためのポイントについて解説

1週間の内容は、1回10分程度のビデオ講義が4〜6本程度と、確認テストによって構成されています。さらに最終テストにパスすることで修了とみなされます。

尚、補助教材「社会人のためのデータサイエンス演習 オフィシャル スタディ ノート」なるものがAmazon日本統計協会公式販売サイトから発売されています。

講座に関するさらに詳しい内容は、こちらの公式ページをご参考にしてみてください。

実際に受講してみてどうだったかなど、今後こちらのブログにて公開していきたいと思います。統計やデータサイエンスというワードが最近ちょっと気になっているという方は、無料講座なのでとりあえず登録だけでもしてみてはいかがでしょうか。

「社会人のためのデータサイエンス演習」紹介動画はこちら

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※1 MOOCs…ウェブ上で誰でも参加可能なオープンな講義のこと。世界中の有名大学が参画している。CourseraやedXなどが代表的なプラットフォームとして有名。

私がイギリスの大学院にオンラインで通うことにした理由 ③(学校決め編)

こんにちは。しおりです。

私は2014年から2016年までの2年間、オンラインでイギリスの大学院に通い、教育学修士号(MA in Education)を取得しました。

既に社会人として働いていた私がオンラインで大学院進学することに決めた経緯や、日本でなくイギリスの大学院を選択することになった経緯については、前回の記事でご説明しています。

今日、オンラインの修士課程は世界中で星の数ほど開講されています。専攻分野や期間などの条件で絞っても、膨大な数の情報が出てきます。そんな中で、自分に合った唯一のプログラムを探すのは至難の業です。

私が選んだのは、イギリスのユニバーシティ・カレッジ・ロンドン(UCL)が開講するMA in Education(教育学修士課程)というプログラムです。今回は、数あるオンライン大学院の中で、なぜ私がこのプログラムを選んだかにつきお話したいと思います。 

ちなみに私が通ったプログラムの詳細はこちらです。

UCL Institute of Education (MA in Education)
(ユニバーシティ・カレッジ・ロンドン 教育大学院 教育学修士課程)

UCLのオンライン修士課程に決めた理由

前回までのところで、大学院探しの条件はかなり絞られていました。

日本で仕事を持ち家庭もある私としては、主に消去法で選択肢を狭めていくこととなり、その結果「イギリスの大学が開講する、オンラインの修士課程」という条件までは絞り込むことができていました。

その上で、さらに私が最重要視していた3つのポイントは、以下の通りです。

  1. オンライン完結型(=通学の必要がない)プログラムであること
    (→いくらなんでも日本からイギリスに通学することは不可能なため)
  1. 細かい専門分野に特化しすぎるのではなく、自分の興味関心に合わせてある程度内容をカスタマイズできるプログラムであること
    (→教育についての全体知識をつけた上で、専門分野を決めたいと思っていたため)
  1. ディプロマミル※1ではなく、きちんとした大学のプログラムであること
    (→単に学位が欲しいのではなく、ちゃんと勉強がしたかったため。また、ディプロマミルの学位を得たところで、実社会では何の役にも立たないため)

これら全ての条件を満たす大学院を探し求めた結果、最終的に下記3つのプログラムに候補が絞られました。

この中で私が最終的に選択したのは、UCL Institute of EducationのMA Educationです。

検討の末、私に大切な20代の時間とお給料を捧げることを決断させた3つの決め手について、それぞれご紹介していきます。

理由1. 教職大学院として世界最高峰の評価を受ける大学である

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UCL Institute of Educationは、イギリスの名門大学ユニバーシティ・カレッジ・ロンドン(UCL)の一部として設置されている教職専門大学院です。教育分野の大学院として、これまでイギリス国内のみならず世界中から高い評価を得てきました。

特に、国際的な大学評価機関であるQS世界大学ランキングでは、教育部門において、2014年から毎年世界第1位にランクインしています(2017年時点)。QS世界大学ランキングについては、そもそも評価が英語圏の大学に偏りすぎているなど批判もありますが、一応明確かつ広範な判定基準のもと、個々の大学を厳正に審査しているイメージがありましたので、個人的には参考にさせて頂きました。

ちなみにQS世界大学ランキングの評価基準は、学術界およびビジネス界からの評価が50%、教員一人あたりの生徒数(=教育のきめ細やかさに対する評価)が20%、論文引用数(=研究に対する評価)が20%、留学生および外国人教員の割合(=国際化に対する評価)が10%という風になっています。これら各項目において、UCL Institute of Educationは教育部門での最高評価を受けており、是非このような大学で自分も学んでみたいと思ったのが大きなきっかけとなりました。

理由2. 通学不要で学べる大学院の中で、プログラムの選択肢が最も多かった

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オンライン完結型(=通学不要)で学べる大学院の中で、開講中のプログラムの数を比較したところ、UCLは選択肢の数が抜きんでていました。

他の2大学では、「通学不要の修士課程(教育分野)」という条件を全て満たすプログラムは、だいたい毎年2、3個開講されています。これでも十分にすごい方なのですが、UCLでは、同じ条件で何と17プログラムもヒットしてきます(2017年9月時点。最新の状況はこちらで確認できます)。ちなみに教育分野に限定しなければ、35ものプログラムがヒットします。さすがは通信教育の歴史が長いロンドン大学系列の大学院という感じです。

しかも、プログラムの内容も多岐にわたっており、初等教育や成人教育など対象別に特化したプログラムや、今注目のデジタル教育に特化したプログラム、また音楽教育や保健教育など専門科目に特化したプログラムまで、まさに選び放題となっています。私は教育全体を俯瞰したいという思いから、純粋な教育学のプログラムを選びましたが、特に専攻したい分野がある方にとって、UCLは外せない選択肢だと思います。

各分野のプロフェッショナルの方々に大変おすすめです。

理由3. 通信教育の歴史が長く、オンライン学習のサポートが最も整っていた

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UCLはロンドン大学の一部ですが、ロンドン大学というのはそもそも通信教育において非常に長い歴史を持つ大学として有名です。

ロンドン大学は過去150年以上にわたり、世界中の学習者に対して通信教育プログラムを提供し続けて来ました。その長い歴史の中で、南アフリカの故ネルソン・マンデラ元大統領などもロンドン大学の通信教育に学んでいます。(さらに余談ですが、UCLは幕末に長州からイギリスへ渡った伊藤博文をはじめとする5人の志士、いわゆる長州ファイブの留学受入先でもあります。つまり、ネルソン・マンデラ伊藤博文が自分の先輩にあたることになります。以上、プチ自慢でした。)

これだけ長い歴史の中で培われた通信教育のノウハウを、全てオンライン教育に投入しているのですから、UCLのオンライン修士課程はまさに無敵と言うことができます。普段の学習では、オンライン学習スペース「Moodle」上で好きな時間に講義を視聴したり、仲間や教員とリアルタイム(またはスレッド形式)でディスカッションしたりすることができます。書籍や学術論文を参照したい時は、オンライン図書館で閲覧し放題です。また、テクニカルな問題が起こった時には、ITサポートチームが遠隔でサポートしてくれます。さらに、教授陣もオンラインの受講生たちに慣れているため、親身かつ柔軟な対応で指導して下さる方が多い印象です。教授に質問するまでもない細かい疑問などについては、事務局が丁寧に素早く対応してくれます。これら綿密なサポート体制は、オンライン学習初心者の私にとって非常に心強く映りました。

以上の3点が決め手となり、私はUCL Institute of Educationの修士課程を選択しました。

2年間学んでみてどうだったか

2014年から足掛け2年間、UCL Institute of EducationのMA Educationにオンラインで学び、自分の学生生活に心から満足しています。日本で仕事があり家庭もある私にとって、これ以上の選択肢はなかったと思っています。良かった点についてそれぞれ語ると長くなってしまうため、また今後に機会を譲りたいと思いますが、UCLのオンライン修士課程は学び直したい全ての方々におすすめできるプログラムということをお伝えし、本記事を締めくくりたいと思います。

特に、「修士号を取ることに興味があるけれど、様々な障壁があって自分には無理だ」と思っている方がいらっしゃれば、そんな方にこそ是非一度検討して頂きたいと思います。

自分では無理だと思ってきたことが、意外と無理ではないかもしれません。

 

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※1 ディプロマミル…金銭と引き換えに、就学の実態がなくても学位を授与する非認可の大学の総称。

私がイギリスの大学院にオンラインで通うことにした理由 ②(学校探し編)

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こんにちは。しおりです。

私は2014年から2016年までの2年間、オンラインでイギリスの大学院に通い、教育学修士号(MA in Education)を取得しました。

既に社会人として働いていた私がなぜ大学院進学を目指すに至ったのか、そしてなぜオンラインという選択肢を選んだのかについては、前回の記事にてお話しています。

今回は、数あるプログラムの中からイギリスの修士課程を選んだ理由についてお話します。当時、海外の大学院にオンラインで通うということはまれで、周囲にもほぼ前例がありませんでした。私の例が、今後誰かの役に立つことがあればいいなと思います。

ちなみに私が通ったプログラムはこちらです。

 UCL Institute of Education (MA in Education)
(ユニバーシティ・カレッジ・ロンドン 教育大学院 教育学修士課程)

なぜ海外の大学院にしたのか

今回大学院探しをするにあたり、譲れないポイントが三つありました。

  1. オンライン完結型(=通学の必要がない)プログラムであること
  2. 世界でも通用する学位が得られること
  3. 出願プロセスがシンプルであること

これら全てを満たす大学院を探し求めた結果、海外の大学院に辿りつきました。

オンライン完結型にこだわった理由は、フルタイムの仕事を持ち家庭もある私にとって、夜間の通学が必要なプログラムは検討できなかったためです。その他オンラインで大学に通う事のメリットについては、前回の記事にて詳しくご紹介しています。 

さて、オンラインで通える大学院を意気揚々と探し始めた私は、すぐさまある現実にぶち当たりました。それは、2013年当時の日本において、オンラインで完結できる教育系の修士課程は、ほぼ存在しないという現実でした。

一部、通信教育型(テキスト配布+論文)で単位取得できる大学院ならいくつか開講されていることがわかりました。しかし、文献をひたすら読み、論文を書き上げて単位認定してもらうという従来型の教育方式は、当時の私にはあまり魅力的に映りませんでした。と言うのも、当時既に海外の大学院では、インターネット経由でリアルタイムに講義を聞き、先生や他の生徒とオンラインでディスカッションをしたり、一緒に課題やプロジェクトに取り組んだりといった、ダイナミックな学びを売りにしたプログラムが多数開講されていたからです。どうせならよりよい環境に身を置いて、最大限の収穫を得たいと思った私は、必然的に海外のプログラムに目を向けるようになりました。そして英語圏を中心に、オンライン学習に対応したプログラムをいくつか見つけました。

なぜイギリスの大学院にしたのか

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特にイギリスにこだわっていたわけではありませんでしたが、上記の譲れないポイントを軸に比較検討していった結果、イギリス勢に絞られていきました。その背景にはいくつかのメリットがあります。

イギリス大学院のメリット①:オンライン教育の体制が充実している

以前、ヨーロッパのEdTechに関する記事を書いた際にもお話しましたが、イギリスは過去何百年にもわたり、通信教育のノウハウを蓄積してきた国です。このノウハウをベースに、世界でも最先端のオンライン教育を実施しています。

私が大学探しをしていた2013年の時点で、既にイギリスには、100%オンライン完結型の大学院プログラムが各分野に山ほどありました。Open Universityのような通信型大学だけでなく、オックスフォード大学ケンブリッジ大学といった世界に名立たる名門大学までもが、オンライン完結型のプログラムを多数開講していました。こういったプログラムでは、オンラインだからといって手加減されるわけではなく、入学から卒業に至るまで通学の場合と同様の基準が適応されるため、質・評価ともに折り紙付きです。またテクノロジー面も進んでおり、インターネット経由でリアルタイムに講義を視聴出来たり、見逃した場合も録画配信してくれたりと、生活に合わせて柔軟に受講できる点も魅力でした。この時点で、私の譲れないポイントのうち、二つが同時にクリアされました。

他国では、当時まだ100%オンラインのプログラムは少数派で、普段の授業はオンラインでも試験や実習の時は現地キャンパスに足を運ばなければならないなど、制約があるものが多い状況でした。(たまに100%オンラインを売り文句にしたプログラムを発見して詳しく調べたら、いわゆるディプロマミル※1といわれる大学であったという事もありました。)

イギリス大学院のメリット②:出願プロセスがシンプル

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出願プロセスの面でも、イギリスに軍配が上がりました。イギリスの大学院は、他国に比べて出願のプロセスが非常にシンプルになっています。その理由の一つが、「UCAS」という総合大学出願システムです。これにはイギリス国内のほとんどの大学が参加しており、受験者は各大学へいちいち出願書を送付しなくとも、こちらのシステムを通して簡単に複数大学に併願することができるようになっています。個人情報やCVなどの書類を最初に登録しておけば、全ての大学に対してその情報を使用できるようになっています(※志望動機などは、もちろん大学ごとに用意して下さい)。他国では、少なくとも当時はまだ大学ごとに個別で出願するのが主流でした。

もう一つの理由は、イギリスの大学院に出願する場合、推薦状の提出が二通で済むという点です。欧米の大学院では、出願の際、複数の推薦状を提出するよう求められます。これは、過去にお世話になった大学教授や職場の上司などから、「この学生(社員)は優秀なので、貴校に推薦します」という旨のお墨付きを、書面で頂かなければならないということです。各方面の忙しい方々に頭を下げ、二通の推薦状をかき集めるだけでも大変なことですが、これがアメリカになると、三通の提出がスタンダードとなります。この点でもイギリスに分がありました。

UCL Institute of Educationに決めた

大学選びにおいて譲れないポイントを軸に、数か月かけて理想の大学院探しを続けた結果、3つのプログラムが最終候補に挙がりました。一つは、レスター大学のMA International Education、そしてバース大学のMA Education、そしてUCL Institute of Education のMA Educationです。

この中で私は、UCL Institute of Education のMA Educationを選択しました。今振り返ると、私にとって最良の選択だったと思っています。

このプログラムを選んだ理由については、次回の「学校決め編」の中で詳しく解説していきます。

 

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※1 ディプロマミル…金銭と引き換えに、就学の実態がなくても学位を授与する非認可の大学の総称。

人生100年時代構想会議開催に思うこと – 今、人生100年時代について議論する意義

9月11日、人生100年時代構想会議の第一回目が開催されました。

8月3日の内閣改造で安倍政権が看板政策として打ち出した「人づくり改革」の流れで発足したこの会議。人生100年時代を見据え、「いくつになっても学び直しができ、新しいことにチャレンジできる社会」を実現するため、経済や社会システムのありかたを検討していくということです。

社会人の学びを一応テーマに掲げているブログとしては、第一回目の会議でどのような議論が交わされたのか、非常に気になるところです。生憎議事録はまだ上がっていないようですが、安倍首相の挨拶や当日参加者の配布資料などから断片的に見えてくる部分もあります。今日は、そんなところについて思う事や今後期待することなどを、緩やかに書き綴りたいと思います。

今、人生100年時代の政策について議論する意義

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そもそもこの会議についてとやかく言う前に、多くの人はこのような疑問を胸に抱くかもしれません。「なぜ今、人生100年の前提で議論なんかしてるのか」と。確かに2017年の現在、日本人の平均寿命は男女ともに80代です。また、「日本人の平均寿命もこの辺で頭打ちなのでは?」という人もいます。「人生100年だなんて大仰な、自分はそんなに長く生きないよ」と多くの人は思うかもしれません。

しかし人生100年というのも、あながち大げさな数字ではなくなってきています。例えば厚生労働省の今年の発表によると、現在日本に住む100歳以上の高齢者の総数は67,824人だそうです。昨年の発表では65,692人ということでしたから、この一年で二千人以上も増加していることになります。さらに、100歳人口の予備軍ともいえる90歳代の人口を見てみると、なんと今年初めて200万人に達したそうです(厚生労働省調べ)。200万人と言えば、ちょうど札幌市の人口と同じくらいです。そのくらいの数の90歳代の人口が既に今日の日本にいて、そこから毎年一定数が100歳人口の仲間入りをしていくのだと思えば、人生100年時代は決して遠い未来の話ではなく、既に到来していると言っても過言ではないかもしれません。

人生100年時代に私たちの人生はどう変わる?

そんな人生100年時代の到来が、私たちの人生にどのような影響を及ぼすのか、最近よく議論されています。よく言われるのが、現在一般的である教育・就労・老後の3ステージ型人生モデルの崩壊です。つまり、20代前半までは学校で教育を受け、その後就職して60代まで働き、以降は引退して余生を送る、という直線状の人生モデルはもはや通用しなくなるだろうという考え方です。理由は簡単で、老後が長引くことにより、老後のコストを60代までの貯蓄では賄いきれなくなるためです。その代わりに注目されているのが、「マルチステージ型」の人生モデルです。人生の様々な局面に合わせて、学びと労働を交互に行い、時にはそれらを両立させながら、時代に合った人生やキャリアを紡いでいくという考え方です。例えば、若い時は旅行(留学)やスモールビジネスの起業などを通して経験値を付け、その後経験を生かして正社員としてバリバリと働き、その後学び直すために少しキャリアをセーブして大学へ戻る。復帰後はフリーランスや非営利活動など、様々なビジネスや活動を組み合わせてキャリアの多元化を図る、という風に、人生の様々な局面に合わせて働き方や学び方を柔軟に変える概念です。このあたりは、リンダ・グラットン著『ライフ・シフト』に詳述されていますので、ご興味のある方は読んでみてください。

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今後ますます高まる「学び直し」の意義

ここで鍵となるのが当ブログのテーマでもある学び直しです。この不確かで競争の激しい世の中を生き抜いていくためには、学び続けることで自分の知識や経験を常にアップデートし続けていくことがとても重要となります。アメリカでは2011年の時点で、当時の義務教育の子どもたちの65%が今はまだ存在しない職業につくという予測ニューヨークタイムズ紙に載り、話題となりました。今私たちが想像すらしていないような職業が、これから十数年の間に市場に溢れるだろうというのです。そんな世の中で長い人生をまっとうするには、やはり学び直しが鍵になると思われます。

実際、私自身も断続的にではありますが、働きながら学び続けることで道を切り開いてきました。新卒で就職をしたその年にリーマンショックが起こり、経済界が大混乱する中リストラを二度経験しました。その後何とか再就職を果たしましたが、アシスタント職からの再スタートとなるなど、厳しいキャリアの局面をいくつか経験しました。しかし仕事を続けながらオンラインを中心に大学院に通ったり一年間休職して海外留学に挑戦したりもしながら、少しずつキャリアの軌道修正をしてきました。今何とか労働市場で生き残れているのは、このように断続的にも学び続けてきたおかげだと思っています。現代社会を生きる社会人にとって、学び直しはもはや必要不可欠なことだと、私は自分自身の体験から実感しています。

人生100年時代構想会議のポイント

このように人々が学びと就労を両立させながら長寿をまっとうしていく社会を見据え、本会議では今後の社会システムについて議論していくものと思われます。会議資料によると、具体的には以下のようなテーマについて扱うとのことです。

  • 全ての人に開かれた教育機会を確保する。さらに何歳になっても学び直しができるよう、リカレント教育を充実する。
  • これら教育の主な受け皿となる大学を中心とし、高等教育改革を行う(若い学生のみを対象とした一般教養の提供のみでは社会ニーズに応えられないため)
  • 企業の人材採用を多様化させる(新卒採用過重主義からの脱却を図る)
  • 社会保障制度の見直しを行う(高齢者向けから全世代型の社会保障へ)

「人生100年時代構想会議」の目的と主要テーマより

尚議論のメンバーには、10代から80代までバックグラウンドも異なる多彩な顔触れを迎えています。下は大学生起業家の三上洋一郎氏から、上は今話題の80代ゲームアプリ開発者の若宮正子さんまで。さらに、日本でもベストセラーとなった『ライフ・シフト』のリンダ・グラットン氏をわざわざイギリスから招いてメンバーに加えているところをみても、中々本気度が伺えます。今後このメンバーでどのような議論が交わされるのか、引き続き注目していきたいところです。

会議資料などを見て思うこと

ちなみに記念すべき第一回の会議においてどのような議論が交わされたかについては、安倍首相の挨拶の中で、以下のように論点が整理されています。

  1. 全ての人に開かれた大学教育の機会を確保する。具体的には、経済的に恵まれない若者が勉学に専念できるよう、給付型奨学金や授業料の減免などを拡充・強化する方向で議論する。
  2. 大学改革を行う。具体的には、IT人材の育成や職業教育(リカレント教育)の充実を通して、社会人の多様な学習ニーズの受け皿となれるよう大学を変えていく。またそれら教育を受けた人たちに就職の道が開かれるよう、産業界にも人材採用の多様化を検討してもらう。
  3. 全世代型社会保障への改革を検討する。待機児童対策や幼児教育無償化の促進、また介護離職ゼロを目指して介護人材の確保をしっかりと進める。
  4. これら政策を実行するための財源を確保する。

この内容を読んで、私の胸にはいくつかの疑問や思うところが浮かんできました。

このブログは別に政策を議論するのが目的ではありませんが、働きながら学び直しを実践するいち社会人の目線から感じたこととして、ここに記述しておきたいと思います。

まず、経済的に恵まれない若者のために授業料の減免や給付型奨学金を充実させるのは良いのですが、その「経済的に恵まれない若者」とは一体誰の事なのかということ。若手社会人のことを指しているのであれば話は分かりますが、これから大学進学を目指す中高生のことまで含んでいるのであれば、この会議の中で議論すべきトピックからは少々ずれているように思います。人生100年時代においては、社会人としてのキャリアの期間も必然的に長期化します。働き手としての人生が長くなるにもかかわらず、社会はより複雑さを増し、競争も激しくなるからこそ、対策が必要なのです。経済支援が必要な中高生や大学生に対する支援政策は、それ自体はとても大切なことですが、この会議の本旨とは種類の異なる問題だと思います。この点をクリアにし、分けて議論して頂きたいと思います。

第二に、大学改革の文脈で「IT人材の育成」という言葉が出てきていますが、大学改革においてはIT人材をいかに育成するかよりも、ITを活用していかに学びを多くの人に開いていくかの方がより重要だと思います。ITを活用すれば、時間的・場所的な制約の多い社会人でももっと気軽に学ぶ事ができるようになり、それを社会へダイレクトに還元できるようになります。私自身、オンラインで通える大学院がなければ、修士号を目指すことは不可能でした。IT人材の育成も今後の社会を見据えると確かに重要な課題ではありますが、上記の若年者貧困層向け就学支援の話題と同様、ここで直接議論すべき問題ではないと思います。それよりも、高等教育のEdTech改革につき、急ピッチで検討して欲しいと思います。

最後に、待機児童対策と並行して幼児教育無償化の話が出てきていますが、なぜこの文脈で幼児教育無償化の話が出てくるのか、私にはよくわかりません。子育て世代の就労・学び直し支援という観点からすれば、待機児童対策の方が圧倒的に優先順位は上だと思います。3才から5才までの教育費が無料になったところで、子育て世代の親がその浮いたお金を親の教育に充てるかというと、実際そうはなりません。働き続けたい(学び続けたい)パパやママにとっては、子どもが0歳(遅くとも1歳)の時点で預ける先が確保できるかどうかに全てがかかっているといっても過言ではありません。それができなければ、キャリアも学びも結局中断せざるを得ないためです。このあたりの優先順位についても、しっかりと認識して欲しいと思いました。

おわりに

今日は人生100年時代構想会議について、資料などから見えてきた部分につき個人的に思うところを書いてみました。議事録は今後アップされるのでしょうか。今後の情報公開を待ちたいと思います。

現在義務教育を受けている子どもたちが社会に出るころには、今はまだ存在しないような職業が山ほど存在すると言われます。考えてみればあと十数年後の話です。近い将来必ず訪れる社会に、私たち働く社会人はどう対応していくべきなのか。このブログでも引き続き考えていきたいと思います。

私がイギリスの大学院にオンラインで通うことにした理由 ①(決意編)

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こんにちは。しおりです。

私は2014年から2016年までの2年間、イギリスの大学院にオンラインで通い、教育学修士号(MA in Education)を取得しました。

当時オンラインで大学院に通うという選択肢はあまり一般的でなく、ましてや海外の大学の修士号ということになると、周囲にほぼ前例がない状態でした。

インターネット上でも、同じような挑戦をしている人にお目にかかることはほとんどなく、まさしく孤軍奮闘という状況でしたが、それでも2年間オンラインで通い続け、昨年無事修了することができました。今では孤独さえもいい思い出です。

今回は、なぜ私がオンラインでイギリスの大学院に挑戦するに至ったかについて、お話したいと思います。なお、次回は大学選び編を予定しています。

私が通ったプログラムはこちら

まずは、私が2年間通った修士課程をご紹介します。

UCL Institute of Education (MA in Education)
(ユニバーシティ・カレッジ・ロンドン 教育大学院 教育学修士課程)

http://www.ucl.ac.uk/ioe/courses/graduate-taught/education-ma 

UCL Institute of Educationは、イギリスの名門大学ユニバーシティ・カレッジ・ロンドン(UCL)が傘下に置く教職専門大学院です。イギリスの大学評価機関であるQS世界大学ランキングでは、教育学部門において、2014年から毎年連続で世界第1位にランクされています。

同大学では教育に関するプログラムが多数開講されており、多くはオンラインでの受講にも対応しています。私が選んだのは、教育学修士号(MA in Education)というプログラムです。なぜこのプログラムを選んだかについては次回詳しくお話しするとして、今回はそもそもなぜ私が大学院に進むことを決めたのか、そしてなぜオンラインという選択肢に至ったのかについてお話したいと思います。

なぜ大学院に進むことにしたのか

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私は大学を卒業以来、キャリアの大半を教育に関わる業界で過ごしてきました。仕事柄、学校の先生や大学の研究者の方々と教育に関するお話をする機会が多いのですが、当時は自分の知識不足を痛いほどに痛感する日々でした。というのも、私は学部時代、直接教育とは関係のない分野を専攻しており、教職課程も取らなかったので、教育に関してはずぶの素人という状態だったからです。

専門知識の不足に加えて、教育に関する経験もほぼゼロでした。しいて言えば、大学二年生の時に半年ほど塾講師のアルバイトをしたのと、大学四年生の夏休みに、ニューヨークで子どもに関わるボランティアをしてきたのが全てです。

このような状態で、日々教育のスペシャリストの方々と接し、彼らの要望に応えていかなければならないことに、大変なプレッシャーを感じていました。同時に、日々子どもたちと向き合うプロの先生方と接する中で、教育って面白いな、もっと学んでみたいなという純粋な気持ちも芽生えてきました。

このようにささやかな社会人生活の中で奮闘していた2013年頃、国際社会に目を向けると、中東をめぐる国際情勢が混沌を極めていくさなかでした。当時、シリア内戦の激化やISの台頭などにより難民化した人たちが、ヨーロッパへ大移動を始めていました。当時日本でも、テレビや新聞などで、戦火の中ヨーロッパに逃れた難民の人々の様子が度々報じられていました。彼らはおおむね食糧難にあえいでいましたが、同時に教育の機会を失われたことに対しても絶望していたようでした。親たちは、子どもを学校に行かせられないことを嘆き、子どもたちは、学校で友達に会えないことを悲しんでいました。

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日本で平凡に会社員として働いていた私の元にも、そういったニュースがさざ波のように押し寄せてきました。テレビをつければ、難民の子どもたちがペンやノートを欲しがっている様子が映し出され、スマートフォンのニュースを開けば、難民の子どもたちの貧困や犯罪などに関する暗いニュースが目に飛び込んでくる、という状況でした。当然、当時の日本メディアが中東情勢ばかりを報じていたわけではありませんが、私の目に飛び込んでくるのは不思議とそのようなニュースばかりでした。

そんな中、2013年7月12日、パキスタン出身の人権活動家であるマララ・ユスフザイさんが有名な国連演説を行い、注目を集めました。「一人の子ども、一人の教師、一冊の本、一冊のペンがあれば、世界を変えられる。」という、あのあまりにも有名なスピーチです。当時まだ16歳の彼女の魂の演説を聞き、私の中でそれまで複雑に絡み合っていた糸が、一つにつながった気がしました。 

youtu.be

今のままで地道に働いていくのもいいけれど、どうせたった一度きりの人生ならば、もっと直接社会の役に立てるような仕事がしたい。教育は世界の人々にとって、食料と並んで最も必要なものの一つなのだから、きちんとそれを学んで、もっと人の役に立てるような人間になりたい。

そう思ったのが、大学院に行って教育を学び直そうと思ったきっかけです。

このように言うと、とてもかっこいい動機に感じられますが、正直、このまま何となく働き続けていくことに不安を感じてもいた時期でした。会社に対しても仕事内容に対しても、ほとんど不満は感じていませんでしたが、自分にこれといった専門性やスキルが備わっていないことに対して、漠然とした不安を感じていました。もしも今後、大学院で教育について学び、自分の中に確かな専門性を育てることができれば、その後の自分のキャリアにとってもプラスになるだろうと考えました。

なぜオンラインで大学院に進むことにしたのか

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ところで、大学院に行くとなれば、普通は通学しなければなりません。勢い勇んで大学院に行くと決めたはいいものの、正社員として月から金までフルタイムで働いていた私にとって、終業後さらに大学まで通わなければならないということは、とても負担に思われました。しかも、当時はしばしば残業もあり、せっかく大学院に入学しても授業に遅れたり欠席したりするのでは意味がないとも思いました。

また、ちょうど2013年に私生活で結婚をし、夕食の支度など家事の負担を考えると、夜間に大学に通うために毎日家を空けるのは、現実的に考えて厳しいなと思いました。

そこで思いついたのがオンラインという選択肢です。

オンラインであれば、物理的にキャンパスに通う手間や時間が省略できるので、その分の労力と時間を学業に注ぐことができます。しかも、オンライン上で自分のペースで受講できるので、授業に遅れたり欠席したりという事がまずありません。また、家を空けることなく、家事とも両立しながら、自分のペースで学んでいくことができると考えました。

まさに、フルタイムの仕事を抱え、家庭もある社会人にとっては、この上ない選択肢に思われたのです。

というわけで、オンラインで通える大学院に絞って学校選びを始めました。

しかしいざ大学院探しを始めると、色々な問題や発見がありました。次回は、学校選びの部分について、詳しくお話したいと思います。

スマホで通える大学「東京通信大学」 が2018年4月開学とのこと

こんにちは。しおりです。 

スマートフォンで通えて学位を取得できる大学、「東京通信大学」が2018年4月に開学するそうです。

ウェブサイトの事前情報によると、スマホで見られる15分単位の講義を中心に授業が進められ、一切通学することなしに大学を卒業できるという革新的なカリキュラムとなっているようです。イギリスの大学院をほぼオンラインで修了した私としても、見逃せないニュースです。

この大学について色々調べてみると、忙しい社会人でも無理なく学べるような工夫が凝らされていることが分かったので、今回は勝手にレポートしてみたいと思います。 

オンライン完結型、かつスマホでの受講を第一に想定

ウェブサイトを見て良いと思ったのは、完全オンライン完結型という点と、中でもスマートフォンでの学習を想定しているらしいという点です。「15分、スマホで大学、はじまる。」というキャッチコピーや、ウェブで先行公開されている広告動画からもわかるように、スマホでの受講を強く意識したインターフェイスになっているようです。

さらに注目すべきは、各講義が15分単位で配信されるという点。15分のスキマ時間があれば、一つの講義をまるごと視聴できてしまうわけです。

忙しいビジネスマンにとっては、お昼休みのちょっとした時間で講義を見られるのはとても便利ですし、子育てや家事で時間が分断されがちなパパママにとっても、より学びが身近になります。

また、しばらく学びから離れていた社会人の中には、普段勉強机に座るという習慣が全くない人も多くいます。そういった人々にとっては、30分間勉強机に座るというだけでも大変なことです。ところが、ソファに座って15分程度スマホと向き合うことから始められるというのであれば、ハードルがぐっと下がります。

ちなみに、15分の動画を見ておしまい、という訳ではもちろんないようです。動画の講義をもとに、他の生徒とオンラインでディスカッションをしたり、課題をこなしたり、テストを受けたりというプロセスを経て、単位認定に至るということです。動画で学習した内容をディスカッションや課題で深めていくという、実践重視のカリキュラムのようです。今はやりの反転型授業ですね。

今需要がある分野に完全注力した学部構成。資格取得のサポートもあり

ウェブサイトによると、来春の開学時点では、以下の学部学科を開講予定だそうです。

情報マネジメント学部 情報マネジメント学科

人間福祉学部 人間福祉学科

ITと福祉の二分野に特化しているということで、どちらも今の日本社会で需要が見込まれる分野ですね。就職またはキャリアアップを強く意識した学部構成となっています。

さらに、情報マネジメント学部では、プログラミングやシステムを中心に学ぶ「IT・情報システムモデル」というコースと、経営寄りの学問を中心とした「経営・マネジメントモデル」、さらにマーケティング分野に特化した「マーケティング・社会調査モデル」という3つのコースに分かれています。いずれのコースも、需要の多い実学分野にフォーカスしています。

さらに資格取得にも力を入れていくようです。社会福祉士のような国家資格から、ITエンジニアの登竜門と言われる基本情報技術者、さらに日商簿記のような定番資格まで、就職に強い資格に特化していることが伺えます。就職や転職を目指している方には心強いですね。

一方、ウェブサイトで見られるパンフレットの情報によると、英語系の科目や、「プレゼンテーション」「アカデミックライティング」といった学術スキル系の科目、さらには「ジェンダー論」や「文化人類学」といった教養系科目も開講されているのが大学らしいところです。

ちなみに気になる講師陣ですが、パンフレットを見ていると、教歴の面でも研究の面でも、しっかりとした教授陣を揃えているようです。実務畑で活躍して来た実務家教授陣と、研究肌のアカデミックな教授陣がバランスよくいる、という印象です。

リアルでのサポートも配備。東京・大阪・名古屋にサテライトキャンパス設置

オンライン完結型の大学ですが、東京・大阪・名古屋の三都市にサテライトキャンパスがあり、対面型のサポートも行うようです。この大学の母体は、日本教育財団という学校法人ですが、あのモード学園やHALなどを運営している学校法人なんですね。ということで、もし学生になったら、あの新宿のコクーンタワーがキャンパスとなる模様です。図書館やコンピュータールームも完備されており、さらに生身のアドバイザーに学習面での相談ができるなど、サポート体制が充実しています。完全オンラインという形式に不安を覚える方も、リアルでのサポート体制がしっかりしているという点は安心材料になりますね。

何といっても学費が安い

最後に学費をチェックしてみると、四年間の学費の合計は62万円とのこと。国立大学でも入学金と初年度の授業料だけで80万円近くかかることを考えれば、四年間通って62万円という価格設定には割安感を感じます(注:資格取得やスクーリングを行う際は、別途費用がかかるとのこと。詳細はウェブサイトを参照)。しかも仕事とも両立が可能であることを考えると、金銭的には余裕が出てきそうです。

今後の要望

ここまでメリットばかりを書き連ねてきましたが、色々調べる中で、一学習者として今後こうなったらいいなという点も見えて来たので、書かせて頂きます。

一つは、将来的に専攻分野の幅を広げていって欲しいということ。恐らく今はスタートアップなので、最も成長が期待できる分野に絞って戦略的に運営する方針を取っていくと思われますが、将来的には文系理系問わず、学部のバラエティを広げていってくれたら選択肢が広がっていいなと思います。前回の記事でご紹介したイギリスの例のように、スマホタブレットで様々な学問にアクセスできるような社会が日本にも訪れたら、素晴らしいと思います。とはいえ、これは一大学の力で到底実現できるものではなく、日本の大学に一丸となって取り組んでもらいたい課題です。

もう一点は、このようなバーチャル大学に進んだことをきっかけに、社会への興味を取り戻したり、人との関わりへの意欲を取り戻したりする人たちも出てくると思われます。そういった人たちがバーチャルと並行して、リアルでも学ぶ機会を得られるような導線があったら良いと思います。例えば、全日制の大学と提携して、単位交換制度を設けるなどしたらどうでしょうか。全日制の大学に通う学生たちにとっても、夜アルバイト後に自宅でスマホから授業を受けて一部単位に交換できるなら、メリットがあると思われます。

さらに、東京通信大学での学びをきっかけに、海外へ興味を持つ学生が出てきてもおかしくないと思うので、海外のオンライン大学と提携してバーチャル留学などできるようにしても面白そうですね。MOOCsとの単位交換もありかな。

……という風に要望を言っているときりがなくなりそうなので、今日はこのあたりでやめておきます。

おわりに

今回は、来春開学予定の東京通信大学について色々と調べてみました。メリットと思われる点や今後の要望について書いてきましたが、実際には走り出してみないとわからない部分も多いと思います。しかし、海外の大学院をほぼオンラインで修了した経験のある私から見ても、東京通信大学のプログラムは学びやすい工夫が随所に凝らされており、期待が持てるのではないかと思いました。私が所属していたロンドン大学のプログラムでは、長めの講義が中心でとてもランチライムに受講できるものではありませんでしたし、スマホへの対応も万全とは言えませんでした(※2016年当時の情報)。そう考えると、東京通信大学のプログラムは革新的ですし、こういった大学が日本に誕生したことについて、純粋にわくわくします。

就職や転職を考えている社会人の方や、ブランクのある主婦の方、さらにこれまで様々な理由で大学進学を諦めて来た方など、東京通信大学のプログラムをチェックされてみてはいかがでしょうか。

今後も引き続きウォッチしていきたいと思います。

東京通信大学の広告動画はこちら:
https://www.youtube.com/watch?v=vBXRhvyMaRQ#action=share

 

アメリカだけじゃない! 今、ヨーロッパのEdTechがこんなに面白い

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テクノロジーを使った新しい学びの形、EdTech(エドテック)について前回の記事でお話しました。

EdTechは、コンピューターやスマートフォンなどを使って、いつでもどこでも自由に学ぶことを可能にする、夢のようなテクノロジーです。デジタルの力で学びをより低コストに、かつ身近で楽しいものにしてくれるサービスが、次々と登場しています。

低コストかつ高品質なサービスの代表例としては、Kahn AcademyやCourseraなどで有名なMOOCsがあります。また、一部のスマートフォンアプリなど、ゲーム要素を上手く取り入れて学習者を惹きつけることに成功しているものが多くあります。

ちなみにEdTechがアメリカ生まれのムーブメントであるためか、EdTechといえばアメリカ(シリコンバレー)、というイメージを持つ方も多いかもしれません。しかし、今やEdTechは世界に広がっており、革新的な商品やサービスが世界各地で産声を上げています。中でも最近盛り上がりを見せているのが、ヨーロッパのEdTechです。特にイギリスとフランスは、ヨーロッパにおけるEdTechの二大産業拠点となっています。今回は、普段日本であまり注目を浴びることのないヨーロッパのEdTechについて、イギリスとフランスに注目しながらご紹介します。

イギリス:長年の教育ノウハウでヨーロッパEdTech界を牽引するパイオニア

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まずはイギリスについて見てみましょう。Brexitを表明後も国際社会の表舞台に立ち続けるイギリスですが、EdTech界においても圧倒的な存在感を放ち続けています。イギリスには従来から、EdTechが開花する土壌が存在していました。その土壌を作ったのは、過去数百年にわたってイギリスが蓄積してきた通信教育に関するノウハウです。

イギリスのオンライン大学がすごい

イギリスのEdTechの最大の特徴は、単に学んで終わりではなく、大学の学位まで取得できるプログラムが充実していること。イギリスでは、オンラインで受講できる学位コースが充実しており、その数は他国と比になりません。今や、オックスフォードやケンブリッジといった名門大学を含め、イギリスの主要大学のほとんどが何かしらのオンライン学位プログラムを提供しているといってもいいほど。内容も幅広く、学部レベルから修士、そしてなんと博士号まで(!)カバーされており、専攻分野も多岐にわたるので、求めているプログラムがきっと見つかるでしょう。また、100%オンラインで修了できるものもあれば、オンラインとオンサイト(現地での履修)を組み合わせて受講できるものもあり、ライフスタイルによって柔軟に受講方法を選べます。もしも100%オンラインで受講できるものを選んだ場合は、言ってしまえば一度もイギリスに足を踏み入れることなくイギリスの大学の学位を取ることだって可能なわけです。すごい時代になりましたね。

これらオンライン大学は、日本で働く社会人にとって非常に大きなメリットがあると思います。つまり、日本でフルタイムの仕事を続けながら、夜や週末に勉強して、海外の大学院の学位を得ることができるわけです。この場合キャリアを中断せず学び続けられますし、収入減が確保されているのでお金の問題で頭を悩ませることもありません。日本でキャリアアップを図りたい社会人には、うってつけのオプションと言えるでしょう。

ちなみに、私もイギリスのオンライン大学院を修了した一人です。私は、2014年からロンドン大学ユニバーシティカレッジの修士課程で学び、2016年に修了、無事MA in Education(教育学修士号)を授与されました。この間夏休みなど一部の期間を除いて、基本的にずっと日本で働きながら学んでいました。私の場合、イギリス現地での受講も組み合わせたので、100%オンラインというわけではありませんでしたが、希望によっては100%オンラインで受講することも可能なプログラムでした。詳しいことは、今後改めて体験記として公開していきたいと思っています。

ちなみに私が学んだロンドン大学の通信課程は、150年の長きにわたり世界中の学習者たちに通信教育を提供してきたことで知られています。このプログラムの著名な受講生には、故ネルソン・マンデラ氏などがいます。彼はアパルトヘイト下の南アフリカで、27年間にもわたる投獄生活を送る中、ロンドン大学の通信課程に在籍し法律のコースを受講していました。ロンドン大学に限らず、イギリスの大学の多くは、通信教育に関し長い歴史を持っています。その背景には、大航海時代から続く植民地政策の中で、イギリス式の教育を世界中の植民地に届けるべく通信教育のノウハウを蓄積して来た歴史があります。イギリスの通信教育は、このような経緯の中で独自に発展して来たのです。このノウハウが、現代のインターネット社会において、イギリスがオンライン教育のリーダーとして開花するための下地を作ったことは想像に難くありません。

 

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イギリスのEdTechスタートアップがすごい

イギリスのEdTech界で存在感を見せるのは、老舗大学だけではありません。教育系スタートアップが近年目覚ましい発展を見せています。実際、ヨーロッパ発で現在有名になっているEdTechスタートアップの多くは、イギリス生まれという状況が起こっています。どれほどイギリスのEdTechスタートアップ勢が勢い付いているかを知れるのが、毎年ヨーロッパの都市で開催されるEdTechの国際的祭典「EdTech x Europe」カンファレンスです。このカンファレンスでは、毎年世界中のEdTechスタートアップの中で最も創造的かつ成功を収めた企業20社を表彰していますが、2016年の最優秀企業20社のうち、約半数の9社をイギリス勢が占めるという状況が起こりました。表彰された企業のサービスの内容も幅広く、例えばプログラミングを体感的に学べるおもちゃや、キャリアマネジメント用のプラットフォームなど、多種多様な顔ぶれがランクインしました。今後、ますますの発展が期待されます。

(ちなみに、この年は日本企業のライフイズテック株式会社が堂々ランクインしたことで、日本でも話題となりました。) 

フランス:政府から個人まで全員参加で盛り上げる!ヨーロッパEdTechの一大エコシステム

次にご紹介するのは、文化の香り漂うフランスからのEdTech。フランスと聞いて、まずITやデジタル技術を連想する人はそう多くないと思われますが、実は昨今EdTechスタートアップを多数輩出するヨーロッパの中のEdTech大国です。フランスでは、政府から個人学習者までが一丸となってEdTech産業を盛り上げようとする気運があります。

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フランス政府が推し進めるEdTech改革

フランスでは2010年代以降、政府主導でデジタル教育に関する改革が推し進められてきました。その代表例が、フランス・デジタル大学(FUN)です。フランス・デジタル大学とは、2013年にフランス政府主導で立ち上げられたフランス語MOOCsの総合プラットフォームです。フランス国内はもちろん、スイスやベルギー、カナダ等のフランス語圏から名門大学が多数参加し、フランス語によるオンライン講義を数多く配信しています。世界中から十数万人規模の受講者を集める人気コースなども登場しており、一大プラットフォームへの成長を遂げているようです。

大学に関連した話題をもう一つ。フランス随一の国立大学であるパリ大学では、近年EdTechに特化した修士課程コースを開設しました。その名も、「EdTech Master」(※通称。正式名称はMSc. in Educational Technologies)。何を隠そう、ここは私が今年の7月まで在籍した修士課程です。EdTech Masterでは、教育分野の専門家やEdTech界の実務家を講師に招き、EdTech分野の専門家を輩出すべく実践的な教育を行っています。さらにフランス政府や民間企業とEdTechに関する共同研究を行ったり、学校向けのプログラム開発に関わったり、一般市民に開かれた教育関連のイベントを定期的に開いたりなど、産官学民全てのセクターにまたがってEdTech普及のための活動をしています。

ちなみに、フランス政府主導のEdTech改革といえば、もう一つ大きな柱があります。それは、今後フランス国内の公立学校に通う子どもたち全員に、一人当たり一台のタブレットPCを配給するというものです。これ、どこかで聞いたことありませんか?そう、日本政府も、2020年までに生徒一人に対し一端末配給を実現しようとしていますね。実現したあかつきには、両国の子どもたちがiPadを使って国際交流、なんていうことが起こったら面白いですね。

フランスのスタートアップも負けていない

先ほどイギリスのスタートアップの目覚ましい活躍について書きましたが、フランスのスタートアップだって負けてはいません。フランスのEdTechスタートアップが国際的な注目を浴びるようになったのは、やはりEdTechの祭典「EdTech x Europe」カンファレンスでのことでした。2015年に発表された最も優秀なEdTechスタートアップ20社のうち、フランスは非英語圏としては異例の、3企業ランクインという快挙を成し遂げたのです。そのうち一社「digiSchool」については、最優秀賞を受賞するなど、そのサービスの内容にも高い評価を受けました。

今年2017年にも、フランスより1社が堂々ランクインしています。プログラミングやIT分野に特化したオンラインレクチャーを数多く無料配信するプラットフォーム、「Open Classroom」です。この「Open Classroom」の創業者であるマチュー・ヌブラ氏とピエール・デュビュック氏は、創業時にたった13歳と11歳であったということで、フランス国内で大きな話題を呼びました。世界的に見ても、当時最も若く勇敢な起業家たちであったことでしょう。ちなみにこの「Open Classroom」、前オランド政権下では失業者向けの職業教育にも利用されており、オランド前大統領がウェブサイトのトップページに動画メッセージを寄せていたこともありました。マクロン大統領政権下では、どのように活用されていくのでしょう。新大統領のEdTech政策と合わせて、注目していきたいところです。

一方「EdTech x Europe」カンファレンスで講演者として毎年おなじみの顔になりつつあるのが、「EdTech World Tour」の創始者、スヴェニア・ブッソン氏です。彼女はEdTech視察のための世界一周ツアーを敢行したことで一躍時の人となった若きフランス人女性ですが、今やEdTech界のオピニオンリーダーの一人として定着しつつあります。私もEdTech Masterに在籍していた際、二度ほどお会いしたことがありますが、小柄な体から好奇心が溢れ出す、とてもエネルギッシュな女性でした。今は世界一周で培った経験と知識をもとに、「Learn Space」という名のEdTechスタートアップを設立しています。始まったばかりでウェブサイトも未だ準備中のようですが、EdTech World Tourにご興味を持たれた方は、今後の彼女の活躍にも注目してみてはいかがでしょうか。

まとめ

今回は、日本ではなかなか注目を浴びることのないヨーロッパのEdTechシーンについてご紹介しました。それぞれ独自の発展を遂げてきたイギリスとフランスのEdTech界。歴史に裏打ちされたレベルの高いプログラムを提供するイギリスのオンライン大学に、個性が光るフランスのスタートアップ企業群。それぞれ、今後の発展が楽しみですね。EdTechといえばシリコンバレー、というイメージをお持ちだった方も、今後は発展目覚ましいヨーロッパのEdTech界に是非注目して頂ければと思います。

私がフランスのパリ大学でEdTechに関して学んできた内容についても、今後詳しくお話していきたいと思っています。